今年は何人の生徒さんがこの曲をレッスンしたかしら・・・?と思い返せないほどたくさんの生徒さんが「アナと雪の女王」の「Let it go!」をレッスンしました。松たかこさんのあまりにも印象的な力強い歌声がずーっと街中に流れていたのと、イディナ・メンゼルさんの公演をアメリカで見て来たという生徒さんもたくさんいて、まさに、音楽教室も「アナユキ旋風」でした。
高音のE(ミ)でパーン!!と声を飛ばさないといけない部分が一番魅力的でもあるこの曲は、ブリッジ(声の出し方を変えないと音色が保てない地点)のさらに上まで裏声に逃げずにベルディングで歌う事が理想的です。です・・・が。なかなか難しいですよね。そもそもベルディングでこの音域が出せるのは、もともとそういう発声が可能な喉を生まれついてもっている人だけといっても過言ではありません。じゃあ、それ以外の人は裏声に逃げるしかないのか・・・?というと、それがそうでもないのです。第一ミュージカル曲でこんなに力強く歌い上げる場所を裏声に逃がしたりしたら、歌の魅力半減です。
ベルディングでもなく裏声でもなく、ではどうずればいいのかと言うと、ミックスボイスの強い声を作ればよいのです。そもそも聞いている人間はよっぽどの耳の持ち主か完璧なボイストレーナーでもない限り、ベルディングと強いミックスボイスの聞き分けは出来ません。裏を返せば、ミックスボイスで力強い歌声を手に入れる事が出来るのならば、ベルディングにこだわらなくてもいいのです。少なくともブロードウェイの歌手の中には強いミックスボイスで高音を歌いこなしている歌手が何人もいます。演出家もその声が欲しかったのだとGOサインを出しているのです。
ベルディングという言葉自体がまだ耳新しい日本のボイストレーニング界ですが、頭でっかちになりすぎずに、自分の喉に合った発声方法で最大限に魅力的な歌声を手に入れていく事が一番の方法です。