「ADSR」
シンセサイザー等、電子楽器の制御信号を設定する機能のひとつにADSRというものがあります。
ADSR
音の始まりから終わりまでを、
Attack(立ち上がり)、Decay(減衰)、Sustain(減衰後の保持)、Release(余韻)
の4点から注目するのは、シンセサイザーで音を作る時だけでなく、生の楽器の音についてもとても有効です。
ピアノを教えていてよく思う事は、みんな楽譜の音符の書かれているところに対してはとても集中していて(Attack)その曲のテンポに遅れないように、演奏しています。
しかし、一度出した音をどのように切るか(消すか)というところまで表現できている人はとても少ないです。
音を消すタイミングと脱力
もちろん音を出すタイミングも大事ですが、その音がどのような長さで、次への繋がりの関係で、どんな音の切り方が良いのかを考える事もとても大切です。(Release)
音の終わり(Release)が意識された演奏はとても丁寧で聴き心地が良いです。
前回お話しをした”脱力”をする事で、音の始まり(Attack)と音の終わり(Release)のカーブは長くなります。
脱力していない音は、立ち上がりも早く、終わりもぷつっとして余韻が少ないです。
歯切れの良い音を目指したいところではこれも効果的ですが、音楽は基本的には柔らかく伸びのある音で歌っていきたいものです。
脱力をする事で、キツくない良い音色になるのは、鍵盤上でこういった事が起こっているからなのです。
次回は「音の最後をみつめる大切さ」