一般的なボイストレーニング
一般的なボイストレーニングは、軽くストレッチをして体をほぐした後にハミング練習や音階練習を行っていき、その後曲の練習をします。
ボイストレーニングとボーカルトレーニングを混同して使っている場合があるのでわかりにくいですが、一般的にはボイストレーニングは発声練習、ボーカルトレーニングは歌唱練習というふうに理解してもらっても大丈夫です。
ここではボーカルトレーニング(歌唱練習)ではなく、ボイストレーング(発声練習)を中心に見ていきましょう。
1-1声帯の作りを理解する
ボイストレーニングを受けたいと思っている方にとっては声帯という言葉は耳新しいものではないかもしれません。声帯とは喉頭の上部にある開閉する1対のひだを持つ器官です。このひだに肺から空気を送り込み、振動させることで人間は声を出しています。現在は咽喉科などで声帯の写真を撮って見せることもあるので自分の声帯を見たことがあるという方も多いでしょう。
発声というと、楽器の音を鳴らすという行為よりも、目に見えない分難しく感じる方もいるかと思いますが、基本的には楽器の音を出す作業と同じです。声帯のひだにいかに効率よく空気を送り込むか。声帯がどのような状態の時に良い声が出るのか、悪い声が出るのか、などを実際に声を出しながら習得していきます。自分の感覚で理解することがとても大切になってくるので、本や文章を読んで納得するだけではなく、実感として落とし込んでいくことが必須です。
1-2身体の構造を理解する
発声は声帯のことだけを考えていれば良いというわけではありません。1-1で書いたように声帯にいかに効率よく息を送り込むか、ということも大事になっていきます。それにはまず、正しい呼吸法が大切になってきますし、その呼吸を支えるための筋肉の使い方などもしっかり習得しなくてはいけません。体全体の筋肉の使い方。横隔膜などのお腹周りの筋肉の使い方。そして内転筋などの下半身の使い方など、様々な部位についても意識していかなくてはいけません。声を出すときには、体全体の仕組みを理解していないといけないということです。
1-3声が出る仕組みを理解する
1-1で書いたように、声帯には1対のひだがあり、人間はそこに息を送り込むことで声を出します。しかしこれは単純に声がでる仕組みであり、「良い声を出す」仕組みではありあません。
良い声を出すために忘れてはいけないのは共鳴腔です。声を出すことと声を響かせることはイコールではありません。良い声(良い歌声)とは響きを含んだ声のことです。体を使って声帯に息を送り込み、声帯を通して出た声を共鳴腔に入れて響きを含ませ、それを放出あるいは響かせることが、良い声の出し方になります。