ボイストレーニングスクールを選ぶ時、皆さんは何を基準、あるいは決め手にして選びますか?
こんなにたくさんのボイストレーニングスクールが溢れかえっていると、何を決め手にしていいかわからなくなってしまいますよね。
価格が安いスクールでしょうか?有名な先生が興したスクール?家からの通いやすさを重視する?
自分がボイストレーニングに何を求めているかで、どうやってスクールを選ぶかと言う基準は変わっていくと思いますが、どんな風にしてボイストレーニングスクールを選べば効率的なのか、その考え方を記事にしていきたいと思います。
この記事を読めばわかること
どうやってボイストレーニングスクールを選べば効率的なのかを知ることができます。
私がボイストレーニングスクールで講師を始めた頃には、特に大手のスクールさんはポップスや洋楽、ジャズなどのいわゆるCDを売る「歌手」を育てるスクールが多かったです。だいたい10年くらい前の潮流はまだCDで音楽を売ることが主流でした。
ところが今は、ボイストレーニングスクールに通う生徒さんたちの層は変わってきています。10年の間に音楽シーンは大きく変わってきました。Youtubeがここまで台頭してきた今では誰もが簡単に自分の歌を世の中に向かって発信できます。それはCDを発売することでしか世の中に自分の歌を発信するすべがなかった時代とは大きく異なった世界です。
そして、そういう世の中になったからこそ、「自分の歌いたい歌」を「ちゃんとレッスン」を受けた状態で「発信したい」と言う欲求が生徒様の中に生まれてきました。
それは、今までは同人CDと言う括りで小ロットで製作販売されていたオリジナルのCDの市場規模が大きくなったことや、「声優」と言う職業の中にアイドル要素が含まれてきたことによって「歌える声優」が求められることになったことも関係しています。
そして、この10年間はプロであることが全てであると言う世界観が覆った10年間でもありました。
プロとアマチュアの線引きが報酬をもらっているかどうかというものによっているのならば、今の時代のプロとアマチュアの境界線は限りなく曖昧になってきています。
プロはよりプロであるべく研鑽を積まなくてはいけなくなりました。アマチュアであっても報酬をもらう仕事を単発的に、個人的に行なっているセミプロも増えてきました。その人たちも、報酬をもらうレベルにふさわしいように研鑽を積みます。そして、そのセミプロになる方法がより身近になった分、世の中の流行りに合わせた訳ではなく、自分の声で、自分の歌を伸ばして、その歌を世の中に認めてもらうという欲求を満たすことが容易になってきたのです。
そういった背景の中で、ボイストレーニングスクールを探すときに、「自分が歌いたい歌はどんな歌だろう?」「自分はどういう風な歌で表現をしたいのだろう?」という自分自身に対するブランディングの考察は必須になってきます。
もちろんスクールに通いながら自分のスタイルを探していくのもアリだと思いますが、初めから方向性を決めることができている人は、それだけスクール選びに迷わなくなります。
まずは、自分がどんな風に表現していきたいのかを考えてみるところから始めていきましょう。
10年間のボイストレーナー歴の中で、私自身が肌で感じてきた生徒様の傾向の変化と、5年以上に渡ってボイストレーニングスクールでの体験レッスン受付に業務として携わってきた経験からも、時代の移り変わりによって変わっていく生徒様の欲求の傾向と、時代が変わっても変わらない生徒様の欲求の傾向を見てくることが出来ました。その経験をもとに今回の記事を書いていきたいと思います。
目次
1ボイストレーニングスクールは何をするところ?
ボイストレーニングスクールなのだからボイストレーニングをするところでしょう!という答えが聞こえてきそうですが、それはもちろん正解です。ですが、ボイストレーニングスクールだからボイストレーニングを行います、というだけのスクールはあまり良いボイストレーニングスクールだとは言えません。なぜなら、ボイストレーニングという言葉には様々な意味が内包されているからです。
ボイストレーニングとボーカルトレーニング、どうして似たような2つの言葉があるのか気になったことはありませんか?もしかすると「同じ意味でしょ?」と思っている方も多いかもしれません。
ボーカルトレーニングとボイストレーニングの違いは「ボイス」「ボーカル」の違いにそのまま直結します。
「ボイス」・・・声
「ボーカル」・・・歌
です。
つまり、「声」をトレーニングするのか「歌」をトレーニングするのかの違いです。
「話し方講座」や「声優のためのボイトレ」などはボイストレーニングのくくりになりますし、「声楽レッスン」や「歌謡教室」はボーカルレッスンのくくりになります。
また、「声を出す」ことが発声レッスンの第一歩ということはボイストレーニングもボーカルトレーニングも同じなので、レッスン的には「発声」の段階では同じような内容のレッスンを行うこともあります。
この「発声」という部分にフューチャーする企業や教室が多いため、日本では「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」がほぼ同じ意味として使われるのです。
ですから、ボイストレーニングスクールは「声を鍛錬するところ」として捉えるのが正解です。ボーカルトレーニング「歌の鍛錬」を望んでいるなら、「ボイストレーニング」ができて「ボーカルトレーニング」もできるスクールを選ぶことが最善です。
2どんなレッスンが自分には最適なのか?
さて、先述したように、日本では「ボイストレーニング」=「ボーカルトレーニング」として捉えられることが多いので、「歌を習いたい」と思う人も「ボイストレーニングスクール」あるいは「ボイトレスクール」と検索をかけて教室を探すかもしれません。
その際、たくさんヒットするのは大手のボイトレスクールではないでしょうか?
ボイストレーナーという職種には資格があるわけではないので、私はボイストレーナーです、と名乗れば、その時からボイストレーナーになれてしまうという事実があります。(ちょっと大袈裟ですが)
さすがに名乗っただけの人をボイストレーナーとして雇うのにはリスクがありすぎるので、どのスクールでも講師になりうる人材かどうかをキャリアや実績を見て決めます。
ほとんどの場合、キャリアとしてはプロとして活動していた経歴がある、もしくは音楽大学などの専門的な学校出身であるという経歴を持った人であれば「ボイストレーナー」になることができます。
この「音大を出ている」という講師と「プロミュージシャンやプロ声優として活動していた」という講師の在籍比率に応じて、そのスクールの得意なジャンルや傾向が見えて来ます。
ですので、自分の受けたいレッスンが受けられるかどうかは、そのスクールのレッスン体制を見るよりも、在籍講師を見る方がわかりやすかったりします。
どんなレッスンが自分に最適なのか?ということは、とどのつまり、どの先生に指示するのが最適なのか?ということと同意です。
自分がやりたいことをすでに経験している人に教えてもらうのがいちばんの近道だということです。
また、自分のやりたいことやジャンルがわからない、と言った人には、オールマイティーに活躍している講師が在籍している教室を選ぶと良いです。
一昔前のように、歌のジャンルの括りがはっきりしていない現在では、どんな歌であっても歌えるようになりたいという希望を持つ生徒様も多いです。そのためにはどんな歌も歌いこなすことができる講師に師事するのが一番です。ジャンルごとに先生を蹴るのも悪くはないですが、基本的にはコロコロと先生を変えるのはあまり好ましいこととは言えません。
3ボイストレーニングスクールを決めるときに気にするべきこと
どんな習い事もそうですが、どの教室に通ったかということよりもどんな先生に師事したかということが後の成長に大きな影響を与えます。
自分に最適な講師と出会うまでには奥の時間がかかる人もいれば、いきなり相性も方向性もバッチリな講師に出会う幸運な人もいます。
どちらの場合も、自分にあっているかどうかを見極めるためにはある程度の時間が必要ですが、意外と「性格の相性が良い」先生と生徒さんの関係性だと、生徒さんの成長率も高いです。
結局のところ信頼関係を気付けるかどうかが、生徒様の成長を促進できるかどうかにつながっていくのです。
このことをわかっているボイストレーニングスクールは在籍する講師の方々を大切にします。生徒さんと同じくらいに、先生も大切にするのです。そうでなくては、スクールと先生の信頼関係が損なわれてしまい、生徒さんにとっても不利益になることがわかっているからです。
ですから、ボイストレーニングスクールを決めるときに気にすべきことは、どんな講師が在籍しているか。そして講師がそのスクールのことを大事にしているか。この2点だと思います。
4まとめ
ボイストレーニングスクールを選ぶときにどんなことを気にすればいいのかを見て来ました。
ボイストレーニングの捉え方、スクールの体制の在り方など、いろいろありますが、あなたが心地よく楽しくレッスンを受けられて、尚且つ熱意を持って指導してくれる先生を探し当てることができればきっと素晴らしい成長を遂げることができます。
そのためにも、一歩踏み出して、相性の良いスクール探しをしてみることをお勧めします。